確証のない星



暗い夜空に星が一つ流れた。
流れ星だ。
今見たばかりなのに、その儚さに、あれは幻だったのでは、と思う。

アイツがいたら、違ったのか。

星のような輝きをもつ髪、青空のような瞳。今は遠い存在を思い出す。

なにを、考えている。

自分で捨てた大切なものを思いだして、サスケの胸が、じくり、と痛んだ。
流れ星ぐらい、自分が見たと確信できる。そう、あと一回見れれば、確実に。
なんとも情けないことだと思いながら、サスケは夜空に目を凝らした。

冷たい空気に曝され、段々と体温が低下していく。そろそろ馬鹿らしくなって視線を外そうとしたその時。
星が、流れた。

「くくっ……」

笑いが白い息と一緒に夜空に吸い込まれる。


結局、ダメなのか。

諦めの吐息が漏れる。

おまえが隣にいて、
「サスケ、流れ星!!見た?オレ見たってばよ!!!」
興奮と寒さで頬を紅潮させて、
「なぁ、見ただろ?」
あの青い瞳をキラリと星空のように輝かせてくれたら。
オレは……

「あぁ、オレも見た」

と、確信して笑えるのだろうか。


自分一人で確証を得れない美しく儚いものを、オレはこの先どれだけ失っていくのか。


ただ一人いないだけで無常にも変わってしまったこの世界。

自分で目を凝らして見ているのに、次の瞬間には現実か幻か分からなくなる。
この世すら儚いものならば、そのうちきっとオレは失うのだろう。
否、それとももう失ったのだろうか。

「おまえがいれば、わかるのに」

呟きは、瞬く星空に消え、それすらもう自分には夢か幻か。
もう失ったはずのおまえは、今でもなぜかオレの中に居座っている。




06/10/22
暗い二部サスケ。
熱出しながらオリオン座流星群見た後に書きました。(ただのバカだ…)