嘘か真か 3 それから二人は何をするでもなく時間を過ごし、夕食を食べ終えた。 デザートに、ナルトには昼コンビニで買ってきたらしい牛乳プリンが出された。(ナルトがサスケに会ったのはこの帰りだった。) サスケは自分用に買ってきた蜜柑ゼリーを食べている。そしていつも通りナルトが一口食べたいとせがむと、いつもならカップごと渡されるのに、今日は口を開けと言われ、サスケが食べさせてくれる。 そうか…こいつ恋人同士だとこんなこと…… ソファーの件からナルトはどうしても普段のサスケの行動と、今日のサスケの行動の違いばかりが気になってしまう。 サスケのいつもと違う自分の扱いに、不覚にもドギマギしてしまったり、反対に、サスケが誰かをこんなに愛おしいそうに触れるのかと思うと、なぜかとても傷ついた。 いやなら、早く嘘だって言えばいいんだってばよ。 窓から見える空には既に夕闇が広がり、いい時刻だ。そろそろ家に帰って明日の準備をした方がいいかもしれない。 何より、4月1日がもう終わってしまう。 窓から見える空は、もう…… だめだってば。 小さく溜息をつく。するといつからなのか、目の前にいるサスケが、真剣な眼差しで自分を見ていた。 その眼はまるで自分の気持ちを全て見透かしているようで、頬に熱が集中する。 何かを言うべきなのか。けど何をだってば、とナルトが考えあぐねているとサスケの口が先に開かれた。 「今日、泊まっていくだろ?」 「ん……あぁ」 肯定の返事。サスケともっとこうしていたい、という思いが心の中で勝ってしまった。 まだ、日付が変わるまで4時間はある。大丈夫。 嘘だってサスケに言ってないし、まだ帰るわけには行かねぇってばよ。 用意は明日の朝早く帰ってすればいい。 そう、ナルトは自分をなんとか納得させた。 *** そして3時間経過。 ヤバイヤバイヤバイ……うわあぁぁ!どうしよう!! なんかうっかり食後に襲ってきた睡魔と隣の人肌の心地よさにやられ寝てしまって、その上寝起きに寝ぼけた状態でサスケに風呂に入れられ、なぜだか知らないうちに髪まで洗ってもらい、極め付けは寝巻のボタンまでとめてもらって…… 「電気もう消していいか?」 「ちょっとタンマー!!」 なんでもう寝る段階に来てるんだよ!!オレってば何やってたんだ!? 「なんだよ、いいだろ」 人に聞いておきながらサスケは人の意見を無視して電気をパチンと消した。 だったら最初から聞くな、と言いたいが、横に潜り込んできたサスケに言葉がつまる。 一人暮しのサスケの部屋にベッドが二つあるわけもなく、今まで泊まりのときは一つのベッドに二人で寝ることが当たり前だった。もう慣れているはずなのに。なのに今日はやけに緊張する。 だって、サスケが…… いつの間にかナルトの背中にサスケの腕がまわっていた。抱え込むようにしてまわされた手が、頭を撫でるように髪を優しく梳き、時折気まぐれに首からうなじを逆撫でする。こそばさと変な気持ちよさに意識がまどろむ。 おでこに押し当てられた柔らかな感触もとても心地よい。 「え……?」 「おやすみ」 目を開けたら見えたのはサスケの緩んだ口許だった。 そのまま何も言う隙を与えられずに抱き込まれる。 これは、もう。一言もしゃべらず寝るしかねぇってばよ。 サスケの腕の中でナルトは小さく唸った後、観念して目の前の男の背に手を回してきつく目をつぶった。 翌日、嘘は嘘にならず真実になってしまうであろうことも、そうなるようにこの男がわざと仕向けたことも、そして今更それに気づいた馬鹿な自分も。取りあえず今日は全て横に置いておいて自分の中でだけでも嘘にしておく。 「おやすみ、サスケ」 返事のかわりに頭にふわりと落ちた感触は、嘘ではなく心地良かった。 07/06/26 エイプリルフール話3。 なんかうちのサイトのナルトはいつもベッドの上でサスケに丸め込まれてる気が;(あ、この文だけ読むとエロい…/コラ) 最後まで読んでくださった方々ありがとうございました!!! |